有馬凡氏の「 Gulcheral Studies」はロックだけでなくロック評論、60年代〜70年代のカウンターカルチャーさらにはアンダー・カウンターカルチャーとでもいうべき事柄など多岐に渡り考察されています。少しでも理解の役に立てればと思い微力ながら註釈をつけさせて頂きました。この註釈は有馬氏ではなくroumandouが調べた事なので間違いがあるかも知れません。もしお気づきの点があれば知らせてもらえれば幸いです。

roumandou

 

 

 

ロバート・クラム(Robert Crumb)
コミック作家・ミュージシャン・イラストレーター


  代表作

「フリッツ・ザ・キャット(FRITZ THE CAT)」
「Keep On Truckin'」他


  アメリカのアンダー・グラウンド・コミックスの巨匠。
  ジャニス・ジョプリンの「CHEAP THRILLS」のレコードジャケットも有名。


  関連リンク Robert Crumb and his Wonder-ground World

 

 

 

 

 

ブルー・オイスター・カルト BLUE OYSTER CULT


 調査中申し訳ないです。

 

 

 

 

ダスト Dust
ヘヴィ・メタル/ハードロック バンド

当時のアメリカではわりと有名だった初期ヘヴィ・メタル・バンド
解散後リーダーは初期キッスのプロデュースをしたり、ドラムのマーキー・ベルは色々なバンドを転々としていた。テレヴィジョンのリチャード・ヘルなどと演ったりしていたが、その後ラモーンズに入り、マーキー・ラモーンとなる。
ダストは本文でも触れている通り、日本盤も発売されていないので日本での知名度はほとんど無い。しかしながら奇想天外(第1期)の4号で岡田英明が取り上げている。

 

 

レスター・バングス   Lester Bangs
 ロック評論家・ロック・ライター・ミュージシャン

 
 1969年からローリングストーン(誌)に評論を書く。
(最初の記事はローリング・ストーンの明かりとりの窓越しに投げ込まれたMC5の「キック・アウト・ザ・ジャムズ」の痛烈なレコード評だった)
 黒人音楽以外には酷評で知られ、ヤン・ウェナーがローリング・ストーン(誌)を首にした。
 70年代 は編集長も務めた『クリーム』をはじめ、『ヴィレッジ・ヴォイス』『NME』『フー・プット・ザ・バンプ』などに100万ものレコード評を書いていた。
 『パンク・ロック』という言葉を作った(?)広めた(?)のもバングスでパンク・ロックのゴッドファーザーと本文にもありました。
  映画『あの頃ペニーレインと』にフィリップ・シーモア・ホフマン扮する伝説的ロックライター/レスター・バングスが登場するが日本ではあまり知名度は高くなくネットで検索してみてもほとんどこの映画の事ばかりでウンザリさせられる。
 追記
  ブルース・スターリング(SF作家)が『ドリ・バングス』という実在のロック・ライター(レスター・バングス)と実在の漫画家(ロバート・クラムの弟子のドリ・シーダという女性)をモデルにした小説を書いている。

 

 

ヘヴィ・メタル・ロック

 本文で語られているヘヴィ・メタル・ロックは今でいうヘビ・メタとは一線を画する初期ヘヴィ・メタル・ロックである。ヘヴィ・メタルという語源には諸説あるがウィリアム・バロウズが『裸のランチ』で使っていたヘヴィ・メタル・ボーイズというのをレスター・バングスらがクリーム誌等で取り上げ広めたという説が有名である。

 

 

パンク

 本文でも触れられている通りパンク、パンキストというのは今使われているN.Yパンク・U.Kパンクだけなく広い意味で使われています。50年代ロカビリーから60年代ガレーヂ、なども含みます。

 

 

アンディー・シャーノフAndy Shernoff
  ロック・ライター・ミュージシャン

 本文でも触れている通り“クリーム”に寄稿しレスター・バングスと共にクリーム誌の黄金時代を築いた。自らも“Teenage Wasteland Gazzette”を発行していたのだが、‘73年にディクティターズを結成した。NYパンクのラモーンズとも仲が良く、ラモーンズが演奏している曲の作詞や作曲でその名前を目にした人もいると思います。
 現在も健在で主にプロデュースなどを手掛けていたが今やNYのロック界のドン的存在でもある。

 

 

ブレーズ・サンドラール
 詩人 

 代表作「世界の果てまで連れてって」「黄金」「モラヴァジーヌの冒険」他
 国籍はスイスだがフランスの詩人として認識されている。ジャリと共にブラックユーモアの先駆者として有名である。日本ではあまり馴染みのない名前かもしれないが、何作かあの生田耕作氏が翻訳しているので、知っている人も多いはずである。またモジリアニ(画家)やアポリネール(詩人)、シャガール(画家)フェルナン・レジェ(画家)など多数と親交があり、レジェと共にル・コルビジエらが始めた「エスプリ・ヌーボー」運動に参加したりもしている。 

 

 

エスタブリッシュメント establishment

 体制派, 既成の権威, 支配層, 指導者たち

 

 

ディクティターズ the dictators

 ロック・ライターのアンディ・シャーノフが結成したバンド。ラモーンズより1年も前にNYパンクの礎を築いたバンド。本文の通り商業的には失敗したため日本ではラモーンズの方がNYパンクの元祖的イメージが強いが、ラモーンズを含めNYのパンクシーンに与えた影響はかなり大きい物と思われる。
 これは余談だが「メディア空間文化論/ジャクリン・パージェス編・著(古今書院)」にディクティターズの歌詞が引用されているので興味のある人はどうぞ。

 

 

フィリップ・ホセ・ファーマー

 SF作家 1968年 中編 紫年金の遊蕩者たち でヒューゴー賞を獲得

 

 

 

デイヴ・マーシュ  

ロック評論家

 現在、アメリカでもっとも有名なロック評論家のひとり。本文にもあった通り、ブルース・スプリングスティーンの本、「グローリー・デイズ[80年代のスプリングスティーン]」「ブルース・スプリングスティーン・ストーリー明日なき暴走」が有名。他にはエルヴィス・プレスリーの本やロックン・ロール・コンフィデンシャルという本の編集もしている。GULCHERAL STUDIES?で紹介したザ・ディクティターズについてはあまり好意的ではなかったらしい。

 

 

ヴァルガー vulgar 

 下品な、卑俗な、通俗な、庶民の、一般大衆の;一般民衆が使う《言語》

 

 

 

レニー・ケイの「ナゲッツ」

 レニー・ケイはパティ・スミスのギタリストとして有名。「ナゲッツ」というのはそのレニー・ケイが編集した60年代ガレーヂ・ロックの古典的コンピレーション・アルバム。60年代ガレーヂ・ロックを聴かれる方は多分誰でも知っているアルバムでしょう。

 

 

 

?&ザ・ミステリアンズ

 本文を参照してください。

 

 

 

カウント・ファイヴ count five

 カリフォルニア州サンホセ出身の60’sガレーヂ・ロック・バンド。本文にもあったようにアルバム一枚を出しただけでメンバーは学業にもどり解散。

 

 

 

ヤードバーズ yardbirds

 60年代を代表するイギリスバンド。イギリスのみならずアメリカでも成功をおさめる。しかし何といってもジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、エリック・クラプトンの3人のギタリストがいたバンドとしてご存知の方も多いはずです。

 

 

 

岡田英明 Hideaki Okada

 マガジン・ライター。本名 鏡明。70年A・メリット「蜃気楼の戦士」で翻訳家デビュー。ハワードのコナン・シリーズの翻訳が有名。

 

 

 

ジム・トンプスン(‘06〜‘77)

 アメリカの『呪われた』ノワール作家の一人。ペイパーバック・オリジナルの巨匠である。ことさらレスター・バングスと文体が近いようには思えないのだが、死後の名声という点では共通するものがある。(有馬凡)

 

 

 

ジョン・サヴェージ 

 音楽評論家
 本文にある邦訳とは「イングランズ・ドリーミング−セックス・ピストルズとパンク・ロック」ジョン・サヴェージ著 水上はるこ訳 シンコー・ミュージック(1995年6月)です。 

 

 

 

小林宏明 

翻訳家

パルプ・ノワールの最高傑作のひとつであるホレス・マッコイの「明日に別れの接吻を」を翻訳している。最近の翻訳ではジェイムス・エルロイなどが有名だと思います。また、「小林宏明のGUN講座」という本も出版していて、長らく日本のミステリファンにいまいちイメージが掴みにくかった翻訳ミステリに出てくる銃や武器を分かり易く解説している。

 

 

 

 ホレス・マッコイ(Horace Mocoy)

 小説家
 1987年〜1955年
 ジム・トンプスン、デヴィッド・グーディスと並ぶノワールの元祖。数々の職業を転々とするが、1927年から小説を書き始める。1935年に「彼らは廃馬を撃つ」を発表。

 

 

 

 チェスター・ハイムズ(Chester Himes)

 小説家
 1909年〜1984年
 1945年に「わめくなら放してやれ」を発表。一部の白人批評家には受け入れられなかったが書店での売り上げは大成功だった。その後フランスに渡り、「暗黒叢書」の創始者である、マルセル・デュアルメと出会い、1958年から1969年にかけて次々と作品を発表し、ハードボイルド派の巨匠に祭り上げられる。日本では植草甚一訳の「ピンク・トウ」が有名です。1984年スペインで死去。

 

 

 

 グレッグ・ショウ

 1949年〜2004年
 BOMP!RECORDSの主催者。SFのファンジンの影響でロックファンジンを発行。またBOMP!RECORDSではガレージからロック、パンク、ハードコア、サイケなど幅広くリリースした。ガレージの名作V.Aである「PEBBLES」も BOMP!から出てます。

 

 

 

 プリティ・シングス

 ストーンズのオリジナルメンバーであるディック・テイラー(G)がいたバンド。40年近くに渡って一部のファンに支持され続けている。数多くの有名バンドよりも革新的で実験的な音楽を続けていたが、不当に無視されてきたバンドである。

 

 

 

 ゼム
 

 かつてアイドル・スターであったブルース・シンガー、ヴァン・モリスンが結成したバンド。ビートルズやストーンズと並ぶブリティッシュ・ビート・ロック・グループ。ドアーズやパティ・スミスらもカバーした「グローリア」はゼムのヒット曲です。

 

 

 

 トロッグス
 

 「恋はワイルド・シング」のヒット曲で知られる英国初のパンク・バンド。70年代までガレーヂ・パンクを発表し続けた。

 

 

 

*1

 これは比喩ではなく、中古の霊柩車に乗っていた若者は実際にいた。‘62年に発表されたロス・マクドナルド(RIP)のミステリィ「縞模様の霊柩車」にもそのような場面があった。ビーチバムの6人組がペンキを塗りたくった霊柩車を乗りまわし、大人がまゆをひそめるというところだ。大型のバンがまだ売り出される以前は、中古の霊柩車は若者たちにとっては便利なものだったのだろう。

 

 

 

 

*2

 NYの?1ケイヴ・ティーン。‘66年に唯一のシングルPrimitive/I'm A Hog For Youを発売して消滅してしまったが、その2曲ともR&Bパンク・クラシックに数えられている。“Smoke Stack Lightning”をベースに多量の蛮性を加えたのが、この“Primitive”だ。多くのコンプに収録されているが、Pebbles Vol.10LP、Ear Piecing PunkのCD(ボーナストラックとして)またはNuggets Boxが入手しやすい。“I'm A Hog For You”は<Ear Piecing Punk>LP/CDで聴ける。

 

 

 

 

*3

 テキサス州ダラスが生み出した強迫的なサイコティック・パンクの代表曲。ヒステリックな哄笑が異様な空間を作り出している。そこから垣間見れる世界は、まるであの“ダイム・ストアのドストエフスキー”ジム・トンプスンの暗黒小説を思わせる荒涼としたものだ。こちらも各種コンプに収められているが、Psy-chedelic Microdtos Vol.1CD(Sundazed SC11005)が便利だろう。

 

 

 

 

有馬凡氏の「 Gulcheral Studies」はロックだけでなくロック評論、60年代〜70年代のカウンターカルチャーさらにはアンダー・カウンターカルチャーとでもいうべき事柄など多岐に渡り考察されています。少しでも理解の役に立てればと思い微力ながら註釈をつけさせて頂きました。この註釈は有馬氏ではなくroumandouが調べた事なので間違いがあるかも知れません。もしお気づきの点があれば知らせてもらえれば幸いです。

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